鳥居の材質と耐久性
鳥居の種類
鳥居には様々な種類があります。シンプルな造りの「神明鳥居」と曲線的で装飾性の高い「明神鳥居」のふたつに大別できます。さらにもう少し細かく見ていくと先のふたつのタイプも含めて全部で12種類に分けることができます。
さらに細かく分類するとその数は64種類にものぼると言われています。以下に「鳥居の研究」(根岸 榮隆 著)で提示されている分類をご紹介します。身近な例としては、朱塗りが特徴的な稲荷鳥居もそのひとつです。
鳥居の分類
第1類 神明系
- 黒木鳥居(共貫)
- 黒木鳥居(釿目貫)
- 神明鳥居(丸貫)
- 神明鳥居(平貫)
- 陸墓鳥居
- 靖国鳥居
- 榛名神明
- 釿目鳥居(ちょうなめとりい)
- 反り神明
- 伊勢形神明
- 伊勢形変形
- 外宮鳥居(または内宮源鳥居)
- 宗忠鳥居
- 角宗忠形
- 石浜鳥居
- 割貫形石浜鳥居
- 麁香鳥居
- 鹿島鳥居
- 冠木鳥居形
第2類 島木神明系
- 島木神明
- 香椎古宮形
- 三柱鳥居
- 春日鳥居(前期形)
- 八幡鳥居(前期形)
第3類 明神系
- 奈良春日形
- 京形明神
- 後期形八幡鳥居
- 中山鳥居(または伴氏鳥居)
- 明神鳥居
- 日月鳥居
- 赤城鳥居
- 賓珠鳥居
- 双龍鳥居
- 龍鳥居
- 住吉鳥居
- 台輪鳥居
- 越前鳥居
- 稲荷鳥居
- 藁座鳥居
- 大隅鳥居
- 宇佐鳥居
第4類 三輪系
- 三輪鳥居
- 今宮鳥居
- 三輪形神明
第5類 合掌系
- 綜合鳥居
- 奴禰鳥居
第6類 枠差系
- 兩部鳥居
- 初瀬兩部(または足守形兩部)
- 愛宕兩部
- 大隅兩部
- 撫牛子兩部
- 吉野兩部
- 神明兩部
- 秩父兩部
第7類 特殊系
- 肥前鳥居
- 鳥衾鳥居
- 唐破風鳥居
- 茨鳥居
- 斗組鳥居
- 平安鳥居(または新構想系の鳥居)
- 群山鳥居
- 陶製鳥居
第8類 金属系
- かねの鳥居
- 鉄管鳥居
鳥居の構造
鳥居の構造は、基本的には「二本の柱の上部を『貫(ぬき)』で固定し、その上に『笠木(かさぎ)』を載せたもの」(三省堂 大辞林より)です。
各部の名称と解説
ここでは、前頁の図で示した鳥居の各部について主なものをいくつかご紹介したいと思います。
- 笠木(かさぎ)とは、二本の柱の上部に渡してある横木のことです。笠木が二段構造になっている場合、下の部分を島木(しまぎ)といいます。
- 台輪(だいわ)とは柱と島木の接合部にみられる節のようなものです。台輪のある明神鳥居は「台輪鳥居」と呼ばれています。
- 額束(ぬかづか)には社号が書かれていることも多く、笠木と貫の中央に笠木と貫をつなぐように設置されています。
- 貫(ぬき)とは、笠木同様に二本の柱の上部をつなぐ横木のことで、笠木から少し離れた位置にあります。
- 楔(くさび)は柱と貫が交差する部分に打ち込まれるもので、本来、貫と柱を接合する役割がありましたが、石製や鉄製の鳥居では形骸化し、飾りのような位置づけになっています。
【マメ知識】
前頁の図では、鳥居の足元を固定している石を「亀腹(かめばら)」と「台石」と分けて記載していますが、実際に鳥居を建立する際、石屋さんとお話しするとこのふたつを合わせて「沓石(くついし)」と呼んでいるようです。