日本で生まれ育った私たちにとっては、鳥居はそこにあるのが自然な存在として受け止めているように感じます。いつもは気に留めることもないかもしれませんが、夏祭りで神社を訪れれば鳥居をくぐり、お正月の初詣でも境内に入る前に必ず鳥居をくぐっています。
神社や仏閣が好きな方でも鳥居のことに詳しい方は少数派です。けれど、鳥居は非常に重要な役割を担っています。鳥居を知れば知るほどその魅力にひかれるのは私だけではないと思います。シンプルな造りのなかに芸術的な美しさがそなわっています。少なからぬ海外のアーティストたちが鳥居の優れたデザイン性、完成度の高さを絶賛しているのをご存知でしょうか?
私たちにとってはあまりにも身近すぎてかえって鳥居のよさを見過ごしているようにも思えます。
鳥居の神聖さを改めて感じるきっかけにしていただければ何よりうれしく思います。
「鳥居とは、神社などにおいて神域と人間が住む俗界を区画するもの(結界)であり、神域への入口を示すもの。一種の『門』である。」(出典:ウィキペディア)
また、邪悪なものが入ってこないように神域を守る役割も果たしているといわれています。
ひとつの神社に複数の鳥居がある場合、最も大きな鳥居が参道の入り口に建てられるのが一般的で「一の鳥居」と呼ばれます。その一方で、本殿に近い内側の鳥居から順番に一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と呼ぶ神社もあります。
地図上でも神社を表すマークとして鳥居が用いられているように、鳥居は神社の象徴的な存在です。神社によってはご神体を納める本殿のないところもありますが、鳥居のない神社はおそらくないでしょう。それだけ鳥居は神社にとって重要なものなのです。
神社を参拝する際の、鳥居をくぐるという行為自体に「禊(みそぎ)」と同様に浄化をもたらす意義を持たせているとも言われています。(参考:「鳥居」稲田智宏著)
鳥居の起源については諸説あり、現時点ではどの説が正しいのかはよくわかっていません。たとえば、天照大神にまつわる説や朝鮮半島、タイなどの諸外国から伝えられたものとする説などがあります。