2011年3月の東日本大震災において石製の鳥居が残念ながら、多数損壊いたしました。また、劣化の進んだ木製の鳥居でも今回の度重なる大きな揺れに耐え切れなかったところが多かったようです。
神域を守る結界として役割を担っている鳥居が今回のような地震で倒壊あるいは半壊するのを目の当たりにするのは耐え難いことです。参拝客の安全を確保するためにも、鳥居の耐震性を見直すことは急務と言えます。
弊社の位置する茨城県でもいまだに余震は続いています。
また、先日、気象庁が東海から四国、九州にかけての5連動地震発生の可能性について言及したことは多くの方にとって記憶に新しいことではないでしょうか。
このような流れを受け、現在もっとも注目されているのが鉄製の鳥居です。
これまでは技術的な面で、「鉄は錆びる」という弱点を克服できていない製法がほとんどでした。鉄製の鳥居も耐震性では優れた特長を示すものの、「錆び」に弱いという側面も持ち合わせていたため、敬遠される神社も多くありました。
しかし、最近は、加工技術が進み、「溶融亜鉛鍍金(ようゆうあえんめっき)」という最新の技術を用い、「さびない」「腐らない」という特長を兼ね備えた鉄製の鳥居を作ることができるようになりました。
鉄製の耐久性に優れ、かつ耐震性に優れた鳥居の製作が実現可能になったのです。
これまでも木製のものよりコストパフォーマンスに優れ、なおかつ、美しい仕上がりとなる鉄製の鳥居は人気の高いものでしたが、これからはさらに耐震性という観点から非常に注目される種類であるといえます。
たとえば、世界遺産でもある平泉の中尊寺境内にある金色院赤堂稲荷大明神の大鳥居が2011年7月に新設されたのですが、その際、「壱百年鳥居」という「さびない」「腐らない」ことを科学的データに基づいて証明した鉄製の鳥居が採用されました。
この「壱百年鳥居」の製法には日本の最高の技術が駆使されています。古来、宗教建築にはその時代を誇る最先端の技術とデザインが採用されてきました。この「壱百年鳥居」にもその姿勢は受け継がれています。文化庁の審査では「壱百年鳥居」の3次元曲面の美しさが認められ、そして、国土交通省の審査では構造設計および基礎設計における観点から耐震性や安全性が確認されました。
この壱百年鳥居は東京スカイツリーなどで使われている最上のコーティングを施しています。東京スカイツリーと同じ製法が駆使されていることからもどれだけ耐久性の高いものかお分かりいただけると思います。
(間違っても、東京スカイツリーが錆びて倒れる・・・などということは許されないはずですから、その東京スカイツリーと同じ防錆処理を施された鳥居が「100年経っても錆びない」と言われるのも納得ですよね。)
鉄製鳥居の弱点を加工技術で克服した最たる例としてご紹介させていただきました。
まだ余震が断続的に続いている東北地方や北関東ではもちろんのこと地震大国である日本では、耐震性の問題を避けて通ることはできません。どの鳥居を選択される場合でも、神域を守るための鳥居としての風格と美しさと同じように参拝者の安全、耐久性および耐震性に十分な配慮を示すこともこれまでになく重視されるようになっています。